野球からフランスまで!

ちょっと前のもの含め、最近させてもらった仕事です。



▼『高校野球小僧』でちょっと異色の記事を。

高校野球小僧2011夏号 2011年 08月号

高校野球小僧2011夏号 2011年 08月号

「野球選手の墓参りさせてください」という奇妙なルポ記事? 書かせていただきました。たぶん野球界で一番有名なお墓でもある、沢村栄治のお墓に参ってきました。ここで書いたことは、人との出会いに尽きます。



▼『野球小僧』編集部在籍時から担当していた企画で、今回ははじめて構成も。

野球小僧 2011年 08月号 [雑誌]

野球小僧 2011年 08月号 [雑誌]

自然身体構造研究所所長、タイツ先生の対談連載「タイツの部屋」の編集・構成をやらせていただきました。今回のお相手は西武・菊池雄星投手。改めて、この人が球界の至宝であることを感じました……。素直さ、勤勉さ、貪欲さ。そして好青年ぷり!! プレーヤーとして最高峰であると同時に、これら内面の部分でも超一流だと思います。いつものように、選手の「スゴさ」を解明するというよりは、菊池選手からタイツ先生への質問が多くなる異例の取材になりました。よって、記事も今までの連載とはちょっと趣が違うかもしれません。
取材をしたのは今年初登板の数日後。そしてこの取材のさらに数日後の登板で、初勝利……。この取材のおかげ、というほどプロ野球は単純ではありませんが、タイツ先生との対話が何らかの効果をあげてくれたのなら本当にうれしい。いや、そうでなくとも、菊池投手の初勝利、日本プロ野球の大きな一歩ですよ!!




▼ガラリと変わって……『TRANSIT』でブックガイドを担当させていただきました!

 ひゃあ〜〜〜〜。こんなこと言うのはなんですが、読者のみなさんはこのおしゃれな雑誌の向こう側にいるのが私みたいなやつ(すごい簡単に言うと非モテ)だとわかったらショックを受けるのでは……!!とか思いながら、でも一生懸命書きました。フランス行ってみたいです。フリーになってすぐ、まだ何の実績もない私にこの仕事をくださった編集部のみなさんには本当に感謝しております。


***


さてーーーーー今月は正念場! まだまだ頑張ります!

――編集者は、会いたい人に会える仕事。
学生時代に恩師にそう言われてから、それをよりどころにしているようなところがある。好きだと思った人、興味を持った人にはまず「会いたいなー」と考える。ただ会社で仕事をしている間はその「会いたい」→「会うために何かしてみる」というモチベーションが上がったり下がったり、おもに下がりっぱなしでいて、せいぜい「よりどころ」という程度の感覚でいたんだと思う。

今日、ずっと会いたいと思っていた人に会った。その人に文章を書いてもらいたいと思ったから。そういう気持ちで人に会えるようになっただけでも、今の体勢で仕事できてることがうれしい!

会えた人はものをつくる人で、私はそのひとの作品にひとめぼれをして忘れられなくなったのでありますが、そのひとはやはり作品と同じ空気を持っていて……とか、そういうの、当たり前のことなんですよね。言うまでもないな。でも私が話をしていてときめいたのは、自分のつくるもの(自身の作品ということではなく)、そのジャンルの話については、やはり言葉がすらすらと出てくるのだなあということ。それくらいの物事との向き合い方でないと、魅力は出てこないもんねえ。

エレファントカシマシCONCERT TOUR 2011 "悪魔のささやき〜そして、心に火を灯す旅〜" 東京ドームシティホール2日目

で、終わるか終わらないかのところで会場を飛び出し、月島から水道橋へ大移動したのですが……この日に限ってスタートが17時って! そんなに夜早く寝たいのかしら。せめて18時でいいでしょうよ! そんなにライブ長くないんですからよ! ま。最初から決まっていたことです。
TDCホールのアリーナって、入り口入ってからが長いんですよね。その間、モニターとかもやってるので何の曲やってるかはすぐわかるんですが、あえて聞かないようにもーれつダッシュしてエスカレーターを3フロア分下ったわけですが、えーと、聞こえてきたのは「悪魔メフィスト」……。このツアーではずっと本編ラストにやっている曲でした……。
さてそうなるとアンコールに期待するしかない。と思ったらドンと「極楽大将生活賛歌」。うれしいなあ。で、続くアンコール、この日は素晴らしかったと思うのです。
極楽大将生活賛歌/習わぬ経を読む男/DJ in my life/俺の道/ファイティングマン//東京ジェラシィ/俺たちの明日/ガストロンジャー//待つ男
「東京ジェラシィ」なんてね、今や野音でしか見られないレアな曲ですから! 全然すきな曲というわけではないんですが、ライブにそこそこ通っていると、レアな曲というだけで喜びひとしお。あと最近は、エレカシでいちばん好きな曲は「俺の道」なんじゃないかと思うくらい、この曲にビシバシやられているので、ツアーの最後に聞くことができてよかったです。イントロのベースで、何度でも鳥肌が立ちます。(確かこの日はイントロちょっと長めにやったんだっけな)

最後は「待つ男」で〆。
そら ちょっと見てみりゃ 富士に太陽 ちゃんとある

すばらしいツアーをありがとうございました。

出版者WS ゲスト:「港の人」のお二人

出版者WS、少し久しぶりになるゲストの回。今回は鎌倉の出版社「港の人」のお二人。創業者の里舘さん(男性)と編集もその他も全てこなしている月永さん(女性)。月永さんは同世代の女性なのにとても落ち着いた佇まいで、ちょっと話を聞けばこの人は頼れるとわかるようなひと(私にあの落ち着きと安心感があるかしら…とか思った。断言するけど、ない)。
このお二人が、なんとも絶妙なバランス感覚でもって成り立っている出版社だと強く感じました。まあ、月永さんが入られる前から「港の人」はあるのですが、現時点では、そう見えるわけです。
里舘さんのキャラクター、というよりはその存在感にも私は驚きました。「編集者」って、どちらかというと「理性」みたいな存在と思われがちというか、主観よりも客観が求められたり、ある意味で表現者とは対極に考えられたりすることもあって。けれど、里舘さんから感じられるのはとことん表現者の空気で、特にその感受性の強さ、それをストレートにあらわす表情や言葉には、正直言ってシビれた。ぐわんぐわん、来た。失礼ないい方かもしれないけれど、編集者は、照れずにこういう姿勢でいていいのだ、と思った。
もうひとつ。
「港の人」は最近、『きのこ文学名作選』や『珈琲とエクレアと詩人』などのヒット(といっていいと思う!)を飛ばしていて、それで認知度も上がっているようす。それらに加え、里舘さんが創業時から大切に出し続けてきた数々の詩の本があり、さらには学術書も数多く手がけている。いわゆる一般書と学術書を、「やりたいことと食い扶持」みたいな分け方ってかんたんにできるし、私も軽くそう思っていたふしがあるのですが、甘かった。どれも里舘さんにとってはやるべき仕事、やらずにはおれない仕事なんだろうという感じだった。軽い、私の思ってること、軽すぎる……! 仕事のありかたを考えることは会社をやめてからこっち、とても多くなったけれど、今回もとても重要な「仕事の」話を聞くことができました。

どこへ?

エレファントカシマシCONCERT TOUR 2011 "悪魔のささやき〜そして、心に火を灯す旅〜" 東京ドームシティホール1日目

とうとうツアーファイナル、東京まで来てしまった。長いツアーで、二日目にあたる長野から、中盤の神奈川、そしてust配信での素晴らしいライブだった仙台と見てきて、40代の彼らの持久力と、曲がどんどんよくなっていくことに驚くばかり。

タイトルのとおりアルバムのツアーなので、基本的にはアルバムの曲をメインに。そんなセットのなかで、いつもアルバム以外で光る曲がたくさんあり、この日は『どこへ?』が最初のそれだった。

「俺のせいなの?」「いやいやこういうものだ」
おいオマエもう一回 再生だ
いい古されてしまった言い方で悪いが
おい俺もう一回 帰ろうよ

ここで震えた。こんな表現は褒め言葉ですらないのかもしれないけど、妙に表現力に磨きがかかってると思った。魅せるべきところで魅せる、聞かせるべきところで聞かせる。最近の曲はそういうメリハリのようなものが強いので、こうして過去の曲にもそういう部分が伝播して、なんだか今まで以上にすごい曲になっている。で、曲のあとに宮本が言ったこと、あえて書く。この曲は、『ガストロンジャー』の回答として書いた、そう言った。すでにどこかインタビューとかで言ってるのかな? 少なくともわたしは知らなかったのだけど、何に驚くって、つまり『ガストロンジャー』という曲にはすでに答えが出ていたのだと……。
『ロック屋(五月雨東京)』もすばらしい演奏で。次の『明日への記憶』のアタマで、最前列のお客さんが倒れるという(たぶん)アクシデントで宮本が曲をとめたんだけど、そのあとまた曲に戻るまでを自然に創り上げたのが、涙出るほどすばらしかったなあ。(なんだ大人のバンドじゃん、っていう切なさもなくはないのよ。でもそれでいいのだ)

アンコール、1曲目に『パワーインザワールド』! 珍しい選曲。個人的には久しぶり。「パワーインザワールドツアー」はすっばらしかったなあ。おそらくあんまり売れなかったと思うけど、『扉』というアルバムはわたしにとってとても大事で、あれがなければ今もここまで追いかけてはいないかもしれないくらい。そのリリースツアーのタイトルになったこの曲の破壊力たるや。余談ですが、宮本がめちゃくちゃ歌詞を忘れる曲でもあります。そのまま『クレッシェンド・デミネンド』とまた珍しい曲、そこからは最近のシングル曲を続けて(やっぱり『ハナウタ』いい曲に聞こえるようになってきた)、ダブルアンコールもあって、最後の最後は『花男』。曲の途中から客電がついて、そのまま終了と相成りました。

宮本の声も良く出ていて、演奏もガッチリで、素晴らしい内容のライブ。さて、明日がファイナルです。(実は日をおいてから書いているので、興奮っぽさが薄い)

ボブ・ディランの転向は、なぜ事件だったのか

ボブ・ディランの転向は、なぜ事件だったのか

1965年、ニューポートで起こったボブ・ディランの「ロック転向」。このことはディランファンならずとも有名な「事件」であって、ただ同時に「物語」であり「伝説」になってる。当事者はまだ生きているのにね。

この本でよーくわかったのは、ディランは「ピュアでKY」だってこと。
じっくりと描かれているのは、むしろ若者にとっての音楽がフォークからロックへ変化していく時代、アメリカという国の「根なし」的な成り立ち、そのなかでも特にローマックス親子によるフォークソングの発掘、といったこの事件の背景にあった歴史。それらをさらったあとで、ふっとこの「転向事件」に目を向けると、ああ、ディラン、空気読めてなかったんだ、みたいな、ある種の軽さを覚えたのです。(ここで空気を読まなかったということもできるけど、ディランの空気の読めなさもいくつか引き合いに出されて、読めない、と思わせる書き方にはなってます)
ディランはその空気の読めなさゆえか、すべての人を裏切ってきてる。でもそこに嘘はなくって、そのとき歌うべきことをやるべき形で演奏しているだけ。

とにかく、この事件の背景に関する一連の考察は、駆け足ではあるけれどとても面白かったです。帯にあるとおり、まさに「ディランのロック転向事件から見えてくる『アメリカ』」です。

やっぱりこれも、読みたいなあ。高い!

アラン・ローマックス選集-アメリカン・ルーツ・ミュージックの探求 1934-1997

アラン・ローマックス選集-アメリカン・ルーツ・ミュージックの探求 1934-1997