出版者WS ゲスト:「港の人」のお二人

出版者WS、少し久しぶりになるゲストの回。今回は鎌倉の出版社「港の人」のお二人。創業者の里舘さん(男性)と編集もその他も全てこなしている月永さん(女性)。月永さんは同世代の女性なのにとても落ち着いた佇まいで、ちょっと話を聞けばこの人は頼れるとわかるようなひと(私にあの落ち着きと安心感があるかしら…とか思った。断言するけど、ない)。
このお二人が、なんとも絶妙なバランス感覚でもって成り立っている出版社だと強く感じました。まあ、月永さんが入られる前から「港の人」はあるのですが、現時点では、そう見えるわけです。
里舘さんのキャラクター、というよりはその存在感にも私は驚きました。「編集者」って、どちらかというと「理性」みたいな存在と思われがちというか、主観よりも客観が求められたり、ある意味で表現者とは対極に考えられたりすることもあって。けれど、里舘さんから感じられるのはとことん表現者の空気で、特にその感受性の強さ、それをストレートにあらわす表情や言葉には、正直言ってシビれた。ぐわんぐわん、来た。失礼ないい方かもしれないけれど、編集者は、照れずにこういう姿勢でいていいのだ、と思った。
もうひとつ。
「港の人」は最近、『きのこ文学名作選』や『珈琲とエクレアと詩人』などのヒット(といっていいと思う!)を飛ばしていて、それで認知度も上がっているようす。それらに加え、里舘さんが創業時から大切に出し続けてきた数々の詩の本があり、さらには学術書も数多く手がけている。いわゆる一般書と学術書を、「やりたいことと食い扶持」みたいな分け方ってかんたんにできるし、私も軽くそう思っていたふしがあるのですが、甘かった。どれも里舘さんにとってはやるべき仕事、やらずにはおれない仕事なんだろうという感じだった。軽い、私の思ってること、軽すぎる……! 仕事のありかたを考えることは会社をやめてからこっち、とても多くなったけれど、今回もとても重要な「仕事の」話を聞くことができました。